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学校に行きたくない君へ

高村さとみ

 不登校新聞社がこれまでに掲載したインタビュー記事を抜粋した「学校に行きたくない君へ」という書籍がある。このインタビューのおもしろいところは、インタビュアーが不登校・引きこもりの当事者や経験者であること、インタビューの候補者は子ども・若者が「私が話を聞きたい人」であるところだ。誰かのため、世の中のためでなく自分のために話を聞くことが中身を深めることにつながるのだそうだ。紙面に掲載されているやりとりはごく一部で、きっとインタビュアーは並々ならぬ熱意と緊張感をもってインタビューに臨んでいるのだろう。
 本書には20名のインタビュー記事が登場する。樹木希林、荒木飛呂彦、西原理恵子、羽生善治...そうそうたる顔ぶれである。「この人の話は共感できるな」「この人とはちょっと合わないかも」「こんな視点もあるのか」と自分の考えに照らしながら楽しんで読んだ。その中で「この話はいいな」と思ったものの共通点は、どこか適当で楽観的である話だ。若者のときにフラフラ生きていた、大人になって肩の力を抜いて生きている、そんな話が良い。読者へのメッセージ性が薄い、何かしらを押しつけてこない心地よさがある。
 札幌自由が丘学園は大きな行事が一段落し、中学3年生はイヤでも来春のことを考える時期。この時期になると、志望校が決まっていない生徒は早く決めねばと焦り、決まっている生徒はもし落ちてしまったらと考え不安を抱いている。特に将来の夢を明確に持っている生徒は「もし落ちたら」の思いも強い。まるで高校の合否で将来が決まってしまうように。未来に真剣に向き合っていることはすばらしいと思いつつ、不安に押しつぶされそうになっている姿を見ると、もっと力を抜いて!と言いたくなる。今の年齢だから言えることだが、自分に何か目標があるとして、そこへ向かう道筋は一つではない。あっちの道もこっちの道も、いったん戻ってから再び歩く道もある。フリースクールが学校に行く以外の道を示しているように。
 これから約3カ月、進路のことで頭がいっぱいになる3年生たちには、ぜひこの「学校に行きたくない君へ」を紹介したい。私は適当さに魅力を感じたが、違う記事がアンテナにひっかかるかもしれない。自分だったら誰にインタビューしたいかを話すのも楽しいだろう。「学校に行きたくない君へ」、おすすめである。

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