2015 年 6 月 のアーカイブ

2015 年 6 月 18 日

「多様な学び保障法」を実現するための集会に参加して

亀貝 一義

6月16日(火)16時から16時45分まで、衆議院議員会館で、「多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会」が開催され、定員いっぱいの200名を超える参加者(「北海道から九州まで」)、16名の国会議員(顧問の河村建夫、座長の馳浩のお二人を含め)も来場されました。大きな盛り上がりだったと言えます。

私はNPO法人フリースクール札幌自由が丘学園の理事長の立場で、この会の趣旨である「多様な学び保障法案(仮称」の立法化促進を求める視点で参加しました。

法案の趣旨について、座長の馳議員は次のように発言しています。

「議員立法で、学習支援計画、理念的なもの、多様な教育を確保するための根拠法をまずは今国会で成立、来年の国会で文部科学省より各法として学校教育法を書き換え、経済的な支援に具体的に踏み込んでもらう」。

議員立法で想定されるものはあくまでも基本線だから、問題は成立以降どういうかたちで具体化できる執行条件をつくるかであり、参加者も皆口々に「皆さんのご意見を」といい、また「議論はこれから」とも強調されていました。

しかしいずれにしても、今後、「学校教育法第一条校」(一般の学校)だけでなく、フリースクールや外国人学校などで学んだ子どもたちも、これまでのように二重学籍でなく、正規の卒業扱いをする、ということになりそうです。ただ「フリースクール」であればどれであってもすべてOKということにはなりません。そこでフリースクールに関する基準をどうするか、はこれからの課題になります。

文科省の担当官も言っていましたが、「これからの作業」がまだまだ残っています、しかし一定のメヤスができつつあります。つまり、「多様な学びかた、多様な学校を前提として考えていこう」ということです。日本の学校教育の大きな転換のきっかけになることでしょう。

当日の簡単な報告、資料等はホームページにも掲載しております。

http://aejapan.org/wp/?p=474

ただこの法案に懸念を表現するグループもいてその発言もありましたが、私には大筋においてこの法案は歓迎されるものと思います。

私も札幌でのフリースクール運動の経験と札幌市のFS補助制度について短時間でしたが発言する機会をもつことができました。

2015 年 6 月 8 日

「フリースクールを容認」の動き

NPO法人フリースクール札幌自由が丘学園理事長 亀貝一義

5月28日、各新聞がかなり大きなスペースを割いて、超党派の議員連盟が「不登校の子どもの学びを支援するため、フリースクールなど学校以外の教育機会を義務教育制度に位置づける『多様な教育機会確保法案』を、議員立法で今国会に提出することを決めた」と報じた。

この「議連」というのは、自民・民主・維新・公明・共産などの議員約50名で構成されていて、「フリースクールへの公的支援を拡充する」として昨年6月に発足した。

これまで「フリースクール」というのは、いわば教育機関という意味でもなく、きわめてあいまいな存在だった。しかし、私たちの長年のフリースクールからの取り組み、そして各議会(道や市など)への公的支援の要請などによって、この存在がようやく認められてきたといってもいい。

もっともこれまでも不登校であっても、中学校の卒業は認定されてきたし、高校進学も「基準点」というハードルをもっていない高校であれば、進学は可能であった。しかし、中学校時代は不登校でした、という子どもにとって、これは口にすることは容易なことではなかっただろう。 だから、上にしたような「フリースクールを容認」という方向がはっきりすれば、「自分は一般の学校ではなく、フリースクールの札幌自由が丘学園に行っていた」と抵抗なく言うことができるようになるだろう。

なによりも、フリースクールへの公的支援の制度がつくられる重要な前提になるに違いない。今、札幌市が200万円以下のフリースクール補助金を支給するしくみを平成24年につくったが、この額もきわめて不十分であり、また札幌市が条例で決めた制度でもない(市長の「政策予算」のひとつ)。

私たちが1990年代後半から粘り強く道や国や市に要望してきた「フリースクールへの公的支援を」という目標がようやく陽の目を見ることができるようになるのだろうか。 あまり楽観はできないが、薄日を感じることができつつある。