2018 年 10 月 のアーカイブ

2018 年 10 月 25 日

安倍首相は毎年フリースクールの意義をうたっていた!

NPO法人 フリースクール札幌自由が丘学園 理事長 亀貝一義

安倍首相は、2015年以来「施政方針演説」でフリースクールの意義をうたっていた。しかし、フリースクールへ、あるいはフリースクールに子どもを通わせている父母への経済的支援は、国からは全くない。これってウソの政治といえるのではないだろうか、そう感じたがどうだろう。次に、この4年間の演説を紹介しよう。

平成27年(2017)2月12日 第189回国会における施政方針演説
四 誰にでもチャンスに満ち溢れた日本
(子どもたちのための教育再生)
「娘は今、就職に向けて前向きに頑張っております。」
二十歳の娘さんを持つお母さんから、手紙を頂きました。娘さんは、幼い頃から学習困難があり、友達と違う自分に悩んできたといいます。
「娘はだんだん自己嫌悪がひどくなり『死んでしまいたい』と泣くこともありました・・・学校に行くたびに輝きが失せていく・・・しかし、娘は世の中に置いて行かれまいと、学校に通いました。」
中学一年生の時、不登校になりました。しかし、フリースクールとの出会いによって、自信を取り戻し、再び学ぶことができました。大きな勇気を得て、社会の偏見に悩みながらも、今は就職活動にもチャレンジしているそうです。その手紙は、こう結ばれていました。
「子どもは大人の鏡です。大人の価値観が変わらない限りいじめは起こり、無くなることはないでしょう。・・・多様な人、多様な学び、多様な生き方を受け入れ、認め合う社会を目指す日本であってほしいと切に願っております。ちっぽけな母親の願いです。」と。
否(いや)、当然の願いであります。子どもたちの誰もが、自信を持って、学び、成長できる環境を創る。これは、私たち大人の責任です。
フリースクールなどでの多様な学びを、国として支援してまいります。義務教育における「六・三」の画一的な学制を改革します。小中一貫校の設立も含め、九年間の中で、学年の壁などにとらわれない、多様な教育を可能とします。

平成28年(2016)1月22日 第190回国会における施政方針演説
三 一億総活躍への挑戦
(希望出生率一・八)
子どもたちの未来が、家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。
ひとり親家庭への支援を拡充します。所得の低い世帯には児童扶養手当の加算を倍増し、第二子は月一万円、第三子以降は月六千円を支給します。
幼児教育無償化の実現に一歩一歩進んでまいります。所得の低い世帯については、兄弟姉妹の年齢に関係なく、第二子は半額、第三子以降は無償にします。
高校生への奨学給付金を拡充します。本年採用する大学進学予定者から、卒業後の所得に応じて返還額が変わる、新たな奨学金制度がスタートします。希望すれば、誰もが、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えます。
いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子どもたちも、自信を持って学んでいける環境を整えます。フリースクールの子どもたちへの支援に初めて踏み込みます。子どもたち一人ひとりの個性を大切にする教育再生を進めてまいります。

平成29年(2017)1月20日 第193回国会における施政方針演説
六 子どもたちが夢に向かって頑張れる国創り
(個性を大切にする教育再生)
我が国の未来。それは、子どもたちであります。
子どもたち一人ひとりの個性を大切にする教育再生を進めます。
先般成立した教育機会確保法を踏まえ、フリースクールの子どもたちへの支援を拡充し、いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子どもたちが、自信を持って学んでいける環境を整えます。

平成30年(2018)1月22日 第196回国会における施政方針演説
三 人づくり革命
(多様な学び)
この春から、道徳が、全ての小学校で正式な教科となります。公共の精神や豊かな人間性を培い、子どもたち一人ひとりの個性を大切にする教育再生を進めてまいります。
フリースクールの子どもたちへの支援を引き続き行います。いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子どもたちが、自信を持って学んでいけるよう、環境を整えていきます。

前川喜平さん(前文科省事務次官)「安倍首相に感謝している」          BuzzFeed News 2017.6.23

何を感謝しているのか?
それは、安倍政権の教育政策。とりわけフリースクール政策、そして給付型奨学金だという。

「私は文科省でずっとフリースクールを認めるべきだ、と言ってたんです。いまの学校制度では対応できない不登校問題をどう考えたときに、学校の外に学校ではない選択肢があっていい、と」

「文科省ではそんなことを言う官僚は少数派だった。ところが、安倍さんはフリースクールを支援しようと、施政方針演説でおっしゃった」

2018 年 10 月 9 日

職員旅行 ー 鎖国と禁教、そして戦争・原爆

nagasaki.jpg亀貝 一義

少々遅きに過ぎた感があるのだが、9月23日から4日間、職員旅行で長崎、熊本、大分の各県を回った。そのレポ。
江戸時代、ただ一つだけ外国に向けての窓口だった長崎、そしてこの長崎は広島とならんで原爆の犠牲を余儀なくされた町でもある。鎖国から開国へ、そして近代化の流れと戦争の惨禍など日本の近代の特性と矛盾をきわめて鋭く描いて世界に示した歴史のいくつかのドラマがかさなっている地域を、駆け足で体験してきた感がする4日間だった。

鎖国・江戸時代の260年間、ただ長崎だけがオランダというヨーロッパ世界に対して門戸を開いていた。この小さな空間から世界がどのように、日本人の目に映っていたのだろうか、また世界の近代化のすさまじい260年間が日本人の意識と感性にどういう影響を与えていたのだろうか、などを知ることは、できるはずもなかったが、そういう問題意識はこれからのテーマになっていきそうな感想だった。

鎖国の時代は厳しいキリスト教禁止政策が徹底されていた。しかしその中でも、かくれキリシタンが子孫代々生き続けていたことも、天草地方での歴史の中で教えてもらった。

杉野さんが、私たち8人(プラス幼児1人)を乗せて、朝早くから夜遅くまで北九州を運転して見聞を広げることに尽力をしてくれたが、その体力と熱意にただ感謝するばかり。

A先生が2歳の男の子をつれて参加された。この利発な子どもはみんなのアイドルになったというか、話し相手になってくれた感がする。どちらが「子守」役だったか、むしろアオト君が主役だったといっていいかも知れない、そんな坊やだった。

「このアオト君が成人になってそのお祝いにカンパイをすることができるとすればその時自分は白寿だ。それまでは元気で生きているよ」という新しい人生目標を見つけることができた。

天候にもめぐまれ、また帰りの九州から東京に向かう飛行機がなかなか激しく揺れてまた一つの体験を重ねることができたような。