2020 年 4 月 のアーカイブ

2020 年 4 月 3 日

ルーツの旅

高村さとみ

 

 私には函館在住の、今年92歳になる祖父がいます。以前にも書きましたがこの数年、祖父は昔の話をいろいろとしてくれるようになりました。海軍予科練習生として茨城の土浦にいた話、5歳の時にあった函館大火の話、そして曾祖父母の話です。

 曾祖父母は群馬で海産物の卸売りをしていました(曾祖母の家が店をしていたところに曾祖父が婿入り)。しかし1923年の関東大震災で店は倒壊。商売か人間関係か、その両方かが嫌になった曾祖父は曾祖母を置いて、取引先を頼って函館へと行ってしまいます。曾祖母はそれを追いかけて函館にやってきた、というのが大筋の話です。祖父の家からは「高村フードセンター」と書かれた、後進であろう店のタオルが出てきました。店はもうないそうですが、その跡地や街並みを見てみたい、と群馬旅行を計画していたのがこの春休みでした。新型コロナウイルスの情報を注視しながら、行きたい気持ちと行くことへの不安がせめぎ合う日々。東京の感染者数が増加していくのを見て、ギリギリになってやはりキャンセルすることを決めました(羽田経由で群馬に入る計画だったので…)。祖父も「お墓の写真を撮ってきてほしい」と楽しみにしてくれていただけに、本当に残念です。なるべく早くリベンジが果たせるとよいのですが…。

 しかしこの話、ここで終わりではありません。北海道立図書館に店のあった群馬県大間々町の町史があることがわかりました。そこで早速、道立図書館へ。項目ごとに10冊ほどの厚い町史がそこにはありました。関連しそうな箇所に目を通していくと、明治37年の大間々町の店・店主名が書かれた地図を発見しました。そこには「高村寅吉」の名前が。私の高祖父(ひいひいおじいちゃん)です。海産物ではなく青物商となっていました。家に帰ってGoogleMapと地図を照らし合わせてみるとまだ続いているお店もあり、だいぶ高村の店の場所が絞り込めました。今は大間々町の古地図を取り寄せて、さらに調べてみようとしているところです。

 群馬に足を運ぶことができなかったのは非常に残念なのですが、地図を調べながら昔の大間々町を歩く気分を味わうことができました。今は下調べを楽しみつつ、実際に足を運べる日を待ち望んでいます。