2014 年 11 月 のアーカイブ

2014 年 11 月 6 日

不安の正体をつきとめる

高村さとみ

先日、シンポジウム・不登校相談会・フリースクールフェスティバルという3つのイベントを開催しました。同日開催のため準備も並行して進めていかなければならず、多くの人の協力によって何とか無事に終えることができたのでした。

仕事をしていると、複数の仕事を同時並行に進めていくなんていうのは日常茶飯事です。日常茶飯事ですが、私はよくこれで頭を悩ませています。頭の中に「あれもやらなきゃこれもやらなきゃ」というのが蓄積されて、不安や焦りでいっぱいになるのです。そんな時は、例えばAさんに用件を伝える、教室にポスターを貼る、のようなごく些細な仕事でもどんどん頭の中に溜まっていき、容量がいっぱいになってしまいます。しかし、それらのやるべきことが頭の中から抜けてしまうことはあまりありません。その仕事が完成するまで記憶に留めておかなければならないと考えているのも、不安や焦りの一因なのでしょう。

同じ様なことはポジティブな場面でも起こります。それは新しいアイディアが浮かんだ時です。稀にイベント案が次々と頭の中に降りてきて溢れてしまいそうになることがあります。そんな時は「これは絶対におもしろい」「こうしたらもっと良い」というようなプラスの思考ながらも、頭の中がいっぱいで苦しい思いになることがあります。

そんな時にどうするか。月並みながらも紙に書きます。仕事リストをつくったり、イベントの企画書をつくったり。仕事リストではそれこそ「Aさんに用件を伝える」のようなどんなに小さなことでもとにかく書くようにします。そうすることによって初めて頭の中から消去できるようになります。いっぱいになっていたパソコンデータ(頭の中)を外付けハードディスク(紙)に移すイメージです。

しかし、頭の中いっぱい具合がさらに深刻になると、紙に書く余裕もなくなってしまいます。とにかく思いつくことを片っ端から片づけ、でも片づけた分新たな仕事がやってきて...とあまり良い事にはなりません。そんな時はお風呂でもお酒でも、とにかく外から体や頭がリラックスできるように操作して、やっぱり紙に残すようにします。

今でこそメモ書きなりパソコンなりで紙に残す作業をしていますが、昔はスケッチブックとクレヨンを使っていました。昔といっても私がフリースクールに勤める前、営業の仕事をしていた時のことです。営業成績が伸び悩むとそれなりのストレスになるのですが、営業トークの見直しや次回目標を考える際にはスケッチブックにクレヨンででかでかと、殴り書きをしたものです。大きく、カラーで書くことで自分の中により印象的に残るようにしたかったのと、クレヨンは雑に書くのにちょうどよくストレスをぶつけるのにも役立っていたと今振り返ると思います。

今流行っている「妖怪ウォッチ」は人々の悩みや問題が妖怪として具現化しているそうで(見たことはないのですが...)、主題歌でも「妖怪のせいなのね そうなのね♪」と歌われています。元々妖怪というのは、誰もいないのに声がした、のような不可解な出来事を説明できるように人がつくりだしたものと言えます。

不安は正体をつきとめない内はいつまでも不安のままです。前半で書いた仕事の内容のことであればつきとめるのは簡単ですが、これがもし人間関係や恋愛や人生のことであったなら。簡単に言葉にできない漠然とした、言いようのない不安は誰しも持っているものです。そんな時にはスケッチブックに思いつくままに殴り書きすることをおすすめします。それだけでも少しばかりのストレス解消になりますし、不安を解決する鍵は不安の正体をつきとめることにあるのかもしれませんから。