2015 年 7 月 のアーカイブ

2015 年 7 月 22 日

自分と他人と

田房 絢子

先日、東京の生徒達が来て和寒でのスクーリングを行いました。

北海道に到着して和寒に向かうバスの中で、東京のスタッフがこんなことを言いました。

「自分と同じぐらい他の人を大切にしよう」

普段は顔をあわせないメンバー。心配も多々あるようです。

そんな中、旅の冒頭で頭に入れておいてほしいことの1つでした。

「他の人をたいせつにしよう」だけだったらこんなに心には残りませんでした。

自分を大切に思うこと、まず自分のことを考えてしまうのは人間の性です。

自己中心的ということでなくても、自分を基本にものを考えるのは当たり前のことですよね。

物事を主観的に考える、意識を持っているというのは人間に与えられた能力のひとつです。

自分をまず定位置に置くから、他の人のことや距離が見えるようになってきます。

自分を見ないと、他の人のことも見えなくなる気がします。

自分しか見えないようだと、他の人だけでなく、

この世の中のことがいろいろ見えなくなる気がします。

そして、大人に傷つけられたひとに出会いました。

どうしてそういうことが起こるのだろうと、不思議でしかない。

受け取り方が千差万別であったとしても、

客観的に考えて、あってはならないことってありますよね。

どうして同じ人間なのに、気持ちをわかってあげられないのだろう。

どうして、その言動の先にある、相手がどう感じるかって考えてあげられないのだろう。

どうして、「ごめんね」っていう真剣な一言で相手の傷を癒やしてあげられないのだろう。

他の人にどのように接したら理解できるか、

どのように接したら傷つけてしまうか、

どのように接したら受け入れてもらえるか。

どのようにしたら一緒に笑っていられるのか。

ちょっと考えてみたら、わかることも多いはずなのに。

自分だって、傷つけられたくなんかないはずなのに。

でも、自分だって傷つけているかもしれない。

自分と同じぐらい、他の人も大切にしなくちゃならないのに。

絶対に忘れてはいけないことなのに。

2015 年 7 月 15 日

スタッフにしだの生態②

安齊 裕香

2013年の10月にスタッフ西田の生態①をエッセイに載せました。それをおぼえていた生徒に、連載を!とのリクエストがあったのでまた書いてみます。

以前は西田家のこと、食生活の話などを書きました。西田家は全員顔が似ていると、要はこんな感じでした。

今回は最近の話を載せてみます。

西田さんは正直です。彼女の話、元彼女の話、聞かれたことはなんでも答えます。答え過ぎていて、同じ大人としてたまに心配になります。それは前からですが、最近は特にのろけています。何か質問をされると、ニヤニヤして答えてくれます。生徒たちはのろけている西田さんを見てそれだけで盛り上がれています。生徒の期待を裏切らない先生だと思います。

今年に入り、引越しをしています。引越し嫌いの引越し下手です。以前その引越しを冷かしに行きましたが、まさかの引っ越せる状態ではない中での引越し作業。仰天です。荷物が小分けで細かすぎる。手伝う身からしたらもっとまとめておけよッ!となります。いつもとても細かくきちんとしている人なのに・・・と思うばかりでした。

最近しいたけをなんとか食べています。好き嫌いが多い話は前にも載せましたが、最近は一番苦手なしいたけを食べました!!まだまだ大きめのものは難しいようですが、小さいしいたけを食べました。本気で拒否していたものを食べているのを見て、大人になってきたのかなぁと思います。33歳ですが・・・。

突然が多いのも西田です。突然引越しを決めたり、突然拒否していたスマホに替えたり、一度みんなの前で拒否したものを少し経ったら考え直しています。その後の西田さんは少し照れ笑いをしています。

それが最近の西田です。

2015 年 7 月 7 日

フリースクールのつくりかた

高村さとみ

 2年前に漂流教室の相馬さんが「フリースクールのスターターキットをつくりたい」と話していたことがある。先日、苫小牧フリースクール検討委員会が主催する「不登校について語りませんか」に参加して、いろんな参加者の声を聞くうちにスターターキットのあるべき姿が浮かんできたので、今回はその話を。

 苫小牧フリースクール検討委員会は、若者支援を仕事にしている人、不登校の元当事者や保護者が集い、苫小牧にもフリースクールをつくれないかと1年程前から話し合いを重ねている。苫小牧には市が運営する適応指導教室はあるもののフリースクールや親の会はない。適応指導教室が合わなくて...という子どもの選択肢のためにはやはりフリースクールはあった方が良いとは思う。実は最近、苫小牧だけでなく道内の数地域からも「フリースクールをつくりたい」という声があがっているのだ。

 しかしいざフリースクールをつくりたいと思っても、リスクの方が先に頭に浮かぶ。利用者は本当に来るのか。家賃や人件費をどう工面するのか。特に経済的なリスクは大きい。今現在フリースクールを運営している団体でも、経済的余裕のあるところなどないのだから。また、不登校といっても適応指導教室やフリースクールを利用していない子どもの方が圧倒的に多い。どのようなプログラムや形態が不登校の子どもにとって利用しやすいかなんてわからないのだ。強いていえばいろいろなプログラム・形態のフリースクールがあればあるほど子どもの選択肢が増えて良い。

 結論から言うとフリースクールのスターターキットはつくれない。運営がまわるような計画をつくるには家賃がいらない・人件費を削るなどの「特別条件」が必要であって、どこでも誰でも当てはまるようなキットとはいかないのだ。フリースクールをつくるには上記のリスクを超えるぐらいの思い切りが必要なのである。

 しかし、親の会であればどうか。というのが今回の苫小牧で見えてきたことである。親の会は、不登校の子どもを持つ保護者、保護者OBOG、不登校について話したい人等々がいれば成り立つ。場所は誰かの自宅でもいいし、月に一度どこかのカフェに集まってもいい。親が楽しそうにしていると、子どもが一緒についてくるときがあるかもしれない。焼肉やカラオケなんかの子どもが好きそうなプログラムを入れたっていい。定期的に行えば、子どもも親の会の時間が楽しみになるかもしれない。そこで友人を見つけるかもしれない。これはもう「フリースクール」といえるものである。ある程度の人数が集まり、子どもからの要望があれば会の回数を増やし、プログラムを考え...と発展させていける。実際にこのようにやっている親の会はあるのだ。このような考えを元に親の会のスターターキットをつくるとしたら...

・賛同する人が2人以上いる
・定期的な開催
・場所は自宅やカフェ、市民会館などを利用
・(大人にとっても)楽しいことをする

 こんなところだろうか。欲をいえば場所に関してはもっと地域の協力者がいてもよいと思う。店や施設で、使っていない時間帯に場所を無料で貸してくれるところ。例えば土日休みの福祉施設。例えば夜だけお客さんが入るごはん屋。そんなところが協力してくれるとよい。フリースクールをメインでやっていくのは難しいが、何かの片手間に子どもや親が集まれる場所をつくる、そんなところは地域に増えていってほしいところだ。