2020 年 11 月 のアーカイブ

2020 年 11 月 9 日

産休中のつぶやき

高村さとみ

 

 

 11月から産休に入りました。お腹が圧迫される痛みはあるものの、それ以外の不調はなく幸い順調に過ごしています。

 最近に限らず、児童虐待や新生児遺棄のニュースをよく目にします。赤ちゃんや子どものことを考えると本当に痛ましくて、事件になる前に何とかできなかったのだろうかと考えてしまいます。と同時に「育てないなら産むな」「親に厳しい処罰を」といった、SNSの反応にも心が消耗してしまう自分がいます。長年子どもと関わる仕事をしてきて、そして、これから赤ちゃんを産もうとしている私ですが、1mmの疑いもなく「私は100%虐待しない」と言い切れる人がいるのだろうか(私も含めて)と思ってしまうのです。

 新生児遺棄でよく言われる「周りは気づかなかったのか」は、裏を返すと周りに気づく人や相談できる人がいない(少なくとも気づいても心配してくれる関係性にない)孤立状態を物語っています。また、病院にかかっている私からしても出産への不安は相当なものです。一人で自宅や公園で出産する人の恐怖とはいかばかりかと考えてしまいます。長い陣痛や出産の痛み、出産後もダメージを負う体に一人で対処するというのは何と恐ろしいことなのでしょうか。単に無責任だから、何も考えていないからでは済まない事情がそこには隠れているはずです。幸い私には生活を支えてくれる家族がいて、理解ある職場があり、出産・育児で利用できるサービスについて情報を探す力があります。でもこれらは何かの拍子に失くしてしまうものかもしれません。環境によっては得られなかったものかもしれません。私は痛ましいニュースを目にする度に、もし自分が孤立状態に置かれたときに、心が健康な状態で出産・育児に臨めるのだろうかと考えてしまうのです。

 昨年「Sapporo・チャイルド・ライツ」という団体(札幌自由が丘学園として加盟しています)の企画で、子どもの権利、とりわけ児童虐待に焦点をあててフォーラムを行いました。児童虐待事件を追っていた新聞記者の方に登壇していただいたのですが、その時に仰っていた「児童虐待は誰でも起こす可能性をもっている」という言葉がとても印象に残っています。では起こらない・起こさないためにはどうしたらよいのか。非常に難しい問題ですが、親バッシングではないことは確かです。上記の「Sapporo・チャイルド・ライツ」に関わる団体は、それぞれの団体の根幹が「子どもの権利」にあると考えています。札幌市子どもの権利条例や子どもの権利条約が、真に理解され守られている社会であれば、子どもは安心して生きること・育つことが保障されるはずです。今年の「Sapporo・チャイルド・ライツ」プロジェクトとして、札幌市内のコーチャンフォー、MARUZEN&ジュンク堂、三省堂書店、イオン藻岩店でブックカバーの配布を11月いっぱい行っています。また、1128()29()にはチカホで子どもの権利や加盟団体に関する展示もあります。子どもの安全・安心について自分にできることを考えたとき、こうした小さな活動を積み重ねることしか今の私は答えをもっていません。この活動が子どもにとっての幸せな未来につながる一助となることを願っています。