2018 年 11 月 16 日

25周年記念フォーラム レポート

フリースクール札幌自由が丘学園の開校25周年を記念するフォーラム
「子どもの学びをどう守るか」が11月10日(土)に行われました。

この日は講師として「一般社団法人 新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会」代表理事の秋山孝二さんを招いての講演と、札幌自由が丘学園の今を伝える発表・座談会の2部に分けてのフォーラムをお送りしました。

<第1部 遠友夜学校に学ぶ フリースクールの原点>

「札幌遠友夜学校」とは、1894年に新渡戸稲造が創立した学び舎です。
貧困により学校に行けなかった子どもたちに、札幌農学校(現北海道大学)の学生たちが無償で勉強を教える場でした。
「日本のボランティア活動の原点」と言われるゆえんです。

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創立当初に配られた生徒募集のちらしには、次のような言葉があったそうです。

・世界に一つの学校、これ程どんな人でも入れる学校はありません
・働きながら勉強できます
・いくら年をとっていても差し支えありません
・男でも女でも構いません
・何時でも入れます
・月謝は要りません
・学用品はあげます
・先生は諸君の友達です

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今のフリースクールのあり方に通じるような、いや、フリースクールでもなかなか為しえない、徹底した平等主義とボランティア精神です。

こうした札幌遠友夜学校の理念を今の社会によみがえらせるため、秋山さんは「新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会」を創設、代表理事を務めています。
そして「札幌遠友夜学校記念館(仮称)」の設立を目指し、「遠友みらい塾」での講演会・学習会などを通じて出会う多くの方々と手を携えて歩んでおられます。

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今回の講演では、札幌遠友夜学校の歴史のほか、現在の活動についても紹介していただきました。
2020年に建設予定の記念館は、地域住民が語らい学びあうプラットホームとして、たとえば不登校児童・生徒の学びの場などとしても活用していきたいとのこと。
大いに共鳴できる目標に触れ、私たちも勇気づけられました。

<第2部 子どもに学ぶ これからの教育とフリースクール>

後半は生徒たちの音楽発表からスタート。
SEKAI NO OWARI の「RPG」をいろいろな楽器の伴奏に乗せて歌いました。
練習期間があまりない中、初めて触れる楽器にも楽しくマジメに取り組んでいました!

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そして、3人の生徒と1人の卒業生が登壇した座談会。

「自分を出せるようになった」
「大声で笑えるようになった」
「ここに来る前と比べて、しゃべる量が200倍くらいに増えた」
「けんかすることもあるけど、本音でぶつかれてうれしい」
「でも、最近はリア充(男女で仲のいい)グループもあって...うらやましい!」

彼らから発せられる前向きな言葉は、とても素直な「自分の声」でした。

いっぽう、卒業生からは
「高校生だった当時はフリースクールの中に同年代の子が少なくて、『仲間』はいるけど『友達』はいないという感覚が強かった」と、これまた率直な思いが聞かれました。
そして「その分、スタッフとは距離が近くてたくさん話した。そして演劇など外の世界に関わるチャンスができた」とも。

現役の生徒たちも、いずれは違う世界で新たな生活を始めます。
友人なりスタッフなり、とにかく安心して一緒にいられる人との関わりから少しずつ違う世界に踏み出す好奇心とエネルギーを蓄えてくれれば...と思います。

卒業生「フリースクールに通っていることで、周りからの目が気になること、ないですか?」
現役生「僕はまったくないですね~」

明るい現役生の声に、私たちこそが励まされた気がします。

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次の周年行事はおそらく30周年記念です。
それまでの5年間、社会の状況が子ども・若者にとってより厳しくなることもきっとあるでしょう。
私たちにとっても、待ち受けているのは平坦な道ではないはずです。
でも、秋山さんのお話や生徒たちの姿から得たヒントとエネルギーは、間違いなく次の歩みの中で糧となるものでした。

多くの子どもたち、そして子どもの周りの方々に「タッチしてみると元気が出た」と感じてもらえるような場づくりを目指して、また次の5年10年を歩んでいきます。

今後もフリースクール札幌自由が丘学園をどうぞよろしくお願いします!