「スマホ狂」?時代
亀貝 一義
「狂」という字はあまりいい意味をもっていない。例えば「狂っている」などという言葉でいえば今は使ってはいけない語ではないだろうか。「プロ野球狂」などという語では、プロ野球に熱中している人の意味で、「野球マニア」と言ってもいい。
私はJR通勤なのだが、JRの中ではとにかくスマホを手にしている人が多い。ネコもシャクシもスマホだ。私はこういう現象をずっと昔、チャップリンの「黄金狂時代」などという映画があったことを思い出したが、この語を利用させてもらって「スマホ狂時代」と言いたくなる。
かくいう私も時にはスマホを手にして、メールを見たり、ネットで調べ物をすることもあるから他人ごとではないのだが。
乗り物の混んでいる時に、顔が目の前にあってもスマホをいじっている人がいる。後ろを向いていじればいいのにと思っていたが、後ろを向いてやれば、背中越しで何を打っているか、何を書いているか知られるかも知れないということでこういう姿勢でスマホをいじっているのだと分かる。「こんなに混んでいるときにバカでないのか」と心の中で思っても、それでことさら自分が困らされるわけでもないから「黙認」しているのだが。
車中スマホに熱中している人は男が多いか女が多いか、ざっと数えてみた。気持ちだけではあるが、どうも女性の方が多い感がする。
スマホが普及したり、PCが普及したりで、人びとの受け取る情報は計り知れず多くなっていく。だから自分の好きな分野で言えば、想像できないほどの知識量を持ち合わせている人が多いのではないか。
ずっと昔(1000年ほど昔の平安時代)、ある娘は「本を読みたい、小説を読みたい」と小さな仏像を創って毎日拝んでいた。そして願いが叶って京の都に行くことになって、たくさんの物語を読むことができて幸せを感じ取ったという「更級物語」を思い出したが、何と今は自分の希望が容易にかなえることができるようになったことに感謝したい。この物語の終わりはメデタシではないのだが。
ウチの生徒諸君も授業のないときはスマホを大いに役立てている。授業中、これをいじっている生徒はほとんど見ない。他の高校の先生から「何度注意してもスマホを離さないから、登校したらこれを強制的に先生が預かることにしている」などということを聞いた。こういう「苦労」をしなくてもいいからわが校の生徒はいい生徒だと思っているのだが。
願わくば、スマホ狂時代が多くの国民にとって政治や社会への認識の深まりと社会を少しでも暮らしやすくしていく発信の時代が広がることだが。
カテゴリー: スタッフエッセイ
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