それぞれの道
フリースクール札幌自由が丘学園理事 高村さとみ
7月の第二週に三者面談を実施しました。中学3年生たちは進路のことを中心に話します。その前準備として、6月には子ども、保護者それぞれに向けて、高校の話や卒業生たちの進路を紹介する時間を持ちました。こうして少しずつ、進路のことを考える機会をつくっています。
不登校の子どもの保護者は「自分の子は将来、社会に出られるのか。」と不安に思っている方が多いのではないかと思いますが、私が出会ってきた子どもたちはそれぞれにちゃんと大人になってちゃんと生きています。「ちゃんと」というのは「人生の進みたい方向に向かって歩んでいる」「楽しんで過ごしている」「地道に生活している」といった意味です。最近会った卒業生たちも「大学でフリースクールのことをレポートにするからスタッフにインタビューしたい。」「アルバイトしていた会社にそのまま就職して、仕事を続けている。」「海外で仕事をしていたが一区切りして日本に戻ってきた。今後のことはゆっくり考えたい。」など、背格好も考え方も話し方もずいぶん大人になっていました。
ではこの卒業生たちがフリースクールにいた中学生時に、何か特別な力を持っている子たちだったかというと、そういうわけではありません。個性的でユニークな子たちでしたが一般にイメージする中学生と同じように、勉強が嫌いだったり、友だちとケンカをしたり、将来のことで悩んだりしていました。フリースクールにくる子が特別で、だから社会に出たり働いたりできるというわけではありません。大切なのは不登校の時期をどのように過ごすのかということなのかなと思っています。将来を悲観したり、焦ったり、自分を責めたりといったネガティブな気持ちでいるのか(ゲームばかりの子はそういった気持ちから逃避している可能性もあります。)。安心できる人と安心できる場所で過ごし、日々を楽しみ、自分なりの挑戦をして過ごしているのか。後者の過ごし方をした方が、自分で自分の人生を切り拓く人になれる。私はそう思うのです。
私たちの学園はもちろんこうした空間や活動をつくっていると自負しています。しかし、フリースクールや教育支援センターといった場に限らず、こうした過ごし方をできているのであれば、その先にはきっとその子らしく生きる道が続いていると、卒業生たちの姿を見て感じるのです。
カテゴリー: スタッフエッセイ
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