2018 年 3 月 17 日

学校復帰をどう考えるか

 高村さとみ

 3月16日(金)、15名の生徒がフリースクール札幌自由が丘学園を旅立ちました。進路未定の子もいますが、中学3年生の子はほとんどが高校へと進学していきます。
 最近、クラスジャパンプロジェクトという取り組みが話題になっています。関心のある方はぜひホームページをご覧いただきたいのですが、不登校が引きこもりにつながるように書かれていたりと、いろいろと疑問が残る内容です。なかでも批判が集中したのは「不登校者全員を通学していた学校に戻す」というミッションです。現在このミッションは削除され、「ミッションに関しての真意」が掲載されています。
 学校復帰をどのような意味で使うのかは団体の性格によって2パターンに分かれるかと思います。一つは先のクラスジャパンプロジェクトのように中学生なら籍を置く中学校に学校復帰するという意味。もう一つは高校進学やその先の専門学校・大学進学も含めて学校復帰と捉えるという意味です。札幌自由が丘学園ではスタッフから子どもに学校復帰を促すことはしていません。ですが、子どもが学校復帰したいという意思があればそれを応援するというスタンスです。実状、在籍校へ復帰する生徒は少ないのですが、先に述べたようにほとんどの生徒が高校進学をしていくという意味では、学校復帰のための役割を果たしているといえます。また、適応指導教室によっては学校復帰前提の利用を求められ、子どもがそれを拒否したために教室の利用ができないことになった、というのはよく聞く話です。子どもの気持ちを想像してみるに、今現在何らかの理由で学校に行きたくないから不登校になっているのに、「学校復帰するためにがんばろう」などと言っても自分を否定されている気持ちになるのではないでしょうか。子どもの気持ちを第一に考えるならば、学校復帰という言葉は軽々しくは使えません。
 それだけに、今回のクラスジャパンの動きはどうにも腑に落ちません。学校復帰を打ち出せば批判が殺到するなど容易に想像できることです。それなのに今回のようなことが起きたのは、学校復帰の持つ意味に鈍感でいるのか。それとも批判が起こることを覚悟しながら、自治体に受け入れられる形式を優先したのか。いずれにしても、子どもの気持ちを第一に考えましょうという当たり前のことを、私たちはもっと発信していかなければならないでしょう。