嬉しいこと
杉野建史
6月13日の土曜日に『空の記憶』という演劇を見に行った。鈴木喜三夫さんが座長を務める「座・れら」の旗揚げ公演だった。出演者が知り合いだった。
アンネ・フランクの父を演じた澤口謙氏である。澤口氏と知り合ったのは今から10数年前、私が今の職場に関わりだした時である。彼が大先輩で常勤職員として働いていた。演劇人である彼の活躍により、本学園の演劇の歴史が始まったのである。私たちは以前から「表現科」という教科(科目)について討論してきた。表現する手段には色々あるが、演劇、音楽、美術などについて機会がある毎に話し合った。勿論、文書など文字で表現する方法もあるし、話す事で表現する方法もあるので「表現」を上記に限った訳ではない。
今でも覚えている澤口氏の言葉がある。「人間は表現する生きもの」である。この言葉の後はこう続いた。「表現の方法はどうであれ、表現しない人間はいない。存在そのものが一つの表現であるし、そこから発せられる全てのものが表現そのものである」と。この言葉に彼の表現に対する思いの深さや広がりを感じ、とても感動した。
その彼とは色々なことがあり、この数年は全く会いもしなかったし、連絡さえ取っていなかった。ところが、8月に学園の演劇部がお世話になる“やまびこ座”に部の顧問が伺った時に『空の記憶』のチラシを持ってきた。そこに彼の写真が大きく載っていて、無性に声が聞きたくなり電話をした。電話口の声は依然と変わらずとても柔らかい声であった。声を聞いたら今度は無性に会いたくなり演劇を見に行った。さすが演劇人、依然と変わらぬ凛々しい姿で舞台に立つ澤口氏を見て感動した。
終演後、楽屋におじゃまして数年ぶりの再開を果たすことができた。嬉しかった。もう一度、澤口氏に会えたことが嬉しかった。ここからまた色々なことを語り合いたいと思った。「澤口さん、これからまた宜しくお願いします。」
カテゴリー: スタッフエッセイ
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