2009 年 12 月 11 日

札幌の冬の夜に考える

椎名結実

昨日は空気の澄んだ、冷え込んだ夜でした。夜、空を見上げると、星が今までになく強く光っていました。修学旅行で見た与論島の星空とはまた違って、北国の澄んだ星空からは自然の厳しさが伝わってきます。

札幌駅前を歩いていたら、路上生活をしているおじさんが、椅子に座ってもぞもぞと動いていました。一生懸命ズボンを重ね着しようとしているのだと思いました。でももう一度見たら、そのおじさんはセーターを足にはいて、できるだけ上にあげようと動いていたのです。

寒くて、手持ちの服をすべて、じわりと冷えてくる足につけようとしていたのだと思います。それを考えたらどうにも通り過ぎることができませんでした。

北海道のホームレス生活者の特徴は、次のようなことだと言われています。北海道出身者が多いこと(特に旧産炭地です)。年間を通して札幌にいること。就労意欲が全国に比べて高いことです。少なくとも毎年200人以上が支援団体や福祉政策によってアパートに住むようになっているのに、いつも変わらず 100人以上の路上生活者がいます。

札幌でも、毎年、凍死者が出ています。
路上生活をしている人たちは、すぐ「あきらめ」ます。生活を変えること、充実した人生を送ること、あたたかい家で眠ること…。

「あきらめないで頑張ればいい」と私たちは簡単に思いそうになります。でも、人間にとって「頑張る」ということが、経済的に孤立するだけでなく、人間関係からも孤立したときどれだけ難しいものなのか。それを私はまだ知りません。

本当の「自立」ってなんでしょう?おじさんたちにかかわると、私はいつも自問自答のループのなかに入っていくのです。