2013 年 1 月 15 日

札幌自由が丘学園の新たな展望を!

 亀貝一義

 最近、いつも頭をよぎるのは「札幌自由が丘学園創立20周年」である。それは、端的に言えば『来し方行く末」である。1993年11月1日のフリースクールスタートのシーンがありありと脳裏に浮かぶ。当時、この新しい学校をすすめる担当者たちの共通の思いは「フリースクールを一つのステップとして新しい学校を生みだそう」ということだった。だからその時の私などの問題意識は、フリースクールスタートは「認可学校」創設のためのいわば手段だった。  しかしその後のフリースクール札幌自由が丘学園の展開は、「手段」などでなく教育理念を展開するという目的そのものであった。  フリースクールという現在もまだ「アブノーマル」(「普通の学校でない位置にある)学校をノーマルな位置に引き上げることが今の私の基本目標になっている。

 立脚点の第一は、フリースクールが受けいれる「不登校」の子どもをどう見るか、ということである。単に「一般の子どものようには学校に行けない」という見方ではなく、今日の教育と学校の画一的なしくみを拒否し、「子どもの育ちが多様であるのだからこれにふさわしい教育と学校のシステムであるべきではないか」と訴えている子どもたちである。
 立脚点の第二は、豊かな感性をもって育った子どもたちは一時的に人とのふれ合いや「学校」そのものに対してなじめない点があるだろうが、それはあくまでも「通過点」であって、豊かな個性をもった大人(スタッフ)や生徒たちとの交流の中で多少のジグザグがあっても元気を取りもどし、「不登校の子ども?」と疑問を持たせるようなごく普通の子どもになるのである。すなわち、私たちの人間観生徒観の修正を求められる。
 立脚点の第三は、学校の在り方の多様性を追求し続ける立場である。近代的な学校が制度面でも内容面でも受けいれる子どもについても、画一的統一的なしくみをもってその水準などを維持発展させてきた。しかし、今上のように、中学校でいえば一クラスに1名以上の「不登校」の生徒がアピールしているが故に、学校の在り方を根本的に見直していかなければならないことを、多くの心ある人たちは自覚し出している。

 スタート以来、私たちは上の3つの点を、すなわち子ども観、子どもの成長観、学校観を育んできた。この上で、次の展望は、フリースクールという主として中学校と、創設5年になる札幌自由が丘学園三和高等学校を総合的に展開するいわば中高一貫の教育しくみを確立させていくことである。その展開から人としての自立(進路)を支援していくことができると確信している。教育制度の改変にまで思いをいたさなければならないから道は非常に遠いのだが、冒頭記した「来し方」と共に「行く末」を実のあるものとして多くの人に提示することができるだろう。