2013 年 2 月 26 日

多様な学びを考える

高村さとみ

 2月10日(土)、11日(日)の二日間、東京代々木で開催された「第5回日本フリースクール大会(JDEC)」に参加してきました。JDECでは全国のフリースクール関係者・関心のある学生が集まり、講演会・分科会への参加や交流を行っています。私は第2回から参加しているので、これで4回目になります。

 その年によってJDECの内容にはカラーがあります。特にフリースクール全国ネットワークが中心となって取り組んでいる「子どもの多様な学びの機会を保障するための法律」の動きはJDECの核とも言えるものです。2010年、第2回のJDECでフリースクールやホームエデュケーション家庭が公に認知され、支援を受けるための法律「オルタナティブ教育法(仮称)」法案骨子が出されました。そして2012年、第4回のJDECではフリースクールだけではなくシュタイナースクールやインターナショナルスクールなど学校以外の様々な学びの場をオルタナティブな教育の場として捉えることに変化しています。「多様な学び保障法を実現する会」が発足し、今年は「子どもの多様な学びの機会を保障するための法律」と名称を変更しての初めてのJDECとなりました。内容の詳細についてはまた別な機会に触れたいと思います。

 私自身、特にフリースクール以外の教育機関を多様な学び保障法の対象に含んだことで、「多様な学びとは何か」ということをよく考えるようになりました。私はフリースクールの良い点の一つとして、各フリースクールによって活動内容がバラバラであるということが挙げられると思っています。子どもがその意志によって自分に合った学びの場を選択できることは理想です。ですから、フリースクールは特に同じ地域にあるのであればそれぞれの特色を持ったものであると良いと思っています。例えばAくんが住んでいる地域に活動の内容の違うフリースクールがいくつかあり、シュタイナースクールやインターナショナルスクールがあり、家庭で学ぶホームエデュケーションも認められているとしたら。そして、その中からAくんが自分に合った学びの場を選択できるとしたら。それはとてもすばらしいことのように思えます。一方、○○スクールという形にこだわらずとも塾や習い事など様々な場所が多様な学びの場といえるのではないかとも思います。実際に現在不登校の児童生徒でフリースクールや市の相談指導学級とつながっている子はわずかです。大半の子は家で過ごしているか、学校には行っていないが塾に通っている、児童会館に行っているなど他機関を利用していることが予想されます。いわゆる教科学習に限らず、子どもが興味をもって取り組んだこと全てに学びがあるというのが多様な学び保障法の前提なのでこの考え方は沿っていると思うのですが、なおさら多様な学びに法案という枠組みをつくることがいかに難しいかということを感じます。多様な学びというとありとあらゆる学びが想定されるのに、それを推進するための法律がむしろ多様な学びの範囲を狭めてしまうことになるからです。

 今回は「多様な学び」という言葉をクローズアップしましたが、多様な学び保障法はまだまだ検討の余地がある法案です。様々な立場の方、たくさんの方に意見をいただきながら修正していくことで本当に今必要な「多様な学び」が何か研ぎ澄まされていくはずです。そのためにはまずこの多様な学び保障法を多くの方に見ていただくこと。少しでも多くの方が多様な学び保障法に関心を持っていただけるとうれしいです。

(多様な学び保障法骨子案はこちらからhttp://aejapan.org/wp