「花」と言えば「桜」(「日本の桜」スケッチ)
亀貝 一義
北海道では、今は桜のシーズンですね。休日にはあちこちで「花見」の宴がもたれています。花といえば桜。
花見というのだから桜でなくともチューリップでもスイセンでもいいのでは、と思うのですが、やはり桜の咲く木の下のパーティでなければムードがもりあがらないでしょう。
いつから「花は桜」というようになったかを少しだけ調べてみました。その昔、奈良時代(710~794)には桜というよりも梅が花の主流だったようです。
有名な「あおによし 奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」の花は梅でした。この梅も遣唐使が中国から持ち帰った花だったといいます。「唐(から)のおみやげ」だったのでしょう。桜はそれから少し遅れて日本に入ってきたとのことです。
「梅の花が咲き誇っている、実にすばらしい、そして今栄えている奈良の都はこの花のようだ」というような意味ですね。
桜を見る会が開かれたのは平安時代(794~1192)になってからでした。この時期から盛んに桜が歌われます。
「世の中に たへて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」と在原業平(ありはらのなりひら)は逆説的に桜を歌い上げました。「桜などなければ、心は落ち着いて春をたたえることができるだろうに」。それほど桜は心を騒がせてくれたのでしょうね。
また大伴地主(おおとものじぬし)というひとは
「桜花(さくらばな) 今ぞ盛りと人は言へど 我は寂しも 君としあらねば」と歌って、彼女(恋人)のいないことを嘆きました。
繰り返しですが、「花見」といえば桜の花を見ることです。これは今も昔もあまり変わりありません。一番有名な「花見のイベント」は、豊臣秀吉の「醍醐(だいご)の花見」でしょうか。やはり平安時代に建立された京都にある醍醐寺(世界遺産)で、1598年4月20日(当時のカレンダー)に秀吉は自分に関係のある1000人以上を集めて大々的な花見の宴を催しました。世に言う「醍醐の花見」です。このとき桜を700本以上植えさせたといいます。
このイベントがどれほどすごかったかは想像もできません。
しかし秀吉はこの後まもなく死去し、豊臣氏も桜が散るように衰えていきます。
桜は「散りぎわの美しさ」としてもたたえられます。太平洋戦争の時、多くの若者たちは「同期の桜」を歌って死んでいきました。「咲いた花なら散るのは覚悟、みごと散ろおうよ国のため」と。
桜を愛しても「同期の桜」は二度と歌いたくありません。
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