2010 年 3 月 12 日

卒業

                                                             田房 絢子

先日、家の整理をしていたらDVDが一枚でてきた。大学の卒業式のDVDだった。振り返ってみると、たくさんのことを学んだ時代だった。

20代の前半を、ゆるやかであると同時に急かされるような日々の中で過ごした。人生で一番勉強した時期だったと思う。たくさん遊びもしたけど、大学で何が一番楽しかったかと聞かれれば、間違いなく「勉強」と答える。見栄え良く点数を取るためでない、自分のために勉強した。知識を吸収する楽しさ、手応えをしっかりと感じることができた。

親に甘え、わがままを言って飛び出した私が手にすることができたものは、目には見えないけど、とてもとても大切なものばかりだった。それもきっと、悔いのないよう、自分を恥じぬよう、最大限努力した結果うまれたものだと確信している。挫折もしたし、心が折れたこともあった。でも最後に、私は卒業式の壇上で満ち足りた笑顔を浮かべていた。そして今、「卒業」にたずさわることのできる職業についている。そんな私だから、胸を張って伝えられることがたくさんある。伝えたいことがたくさんある。挫折も成功も全部、みんなに。

卒業が、新しいスタートになる。そしてそのスタートは、また新しいゴールを目指していく。次のスタート地点に立つ頃には、新しい自分が生まれているはず。どんな「自分」になっていくんだろう。

これからの人生が、たくさんのことを語りますように。そして、たくさんのことを伝えていきますように。