初めての強歩遠足
及川 かおり
札幌自由が丘学園では毎年恒例の「強歩遠足」。去年赴任した私にとっては今回が初めての挑戦です。真駒内から支笏湖までの約33キロを、およそ8時間かけて歩き切るとのこと。先輩の先生方からは道順や注意事項など詳しい説明がありましたが、それでも初参加で完歩できるのか、前日は期待と不安ですぐに寝付けませんでした。生徒たちも毎年、こんな緊張感で臨んできたのでしょうか。
いよいよ当日の朝、小雨が降ったり止んだりの涼しい気候の中、フリースクール生も高校生も一斉にスタート。市街地を抜ける間はまだ楽しくお喋りをしながら歩く余裕がありました。登り坂も何のその、第一休憩所までは大きな負荷も感じることなく到着できました。
ここからは雨足が強まってきたため、カッパを着込んでの再出発。三和高校の生徒数名と道中を共にしながら進みます。次第に上り坂の勾配もきつくなり、それが見渡す限り続く光景に気が引き締まるのを感じました。「もう歩けない」、「限界」。そう言いながらも、生徒たちは自分自身の目標に向かって、汗を拭いながら懸命に一歩ずつ進んで行きました。
ようやく第二休憩所が見え、「がんばれ-!」と手を振ってくれる父母の皆さんの温かい声援に、一瞬、膝や腰の痛みを忘れたような気がします。
深い森を通る国道沿いを歩くと、うぐいすやシジュウカラなどの鳴き声が辺りに響き渡り、正面に恵庭岳を臨む景色は雄大そのものです。沿道のめずらしい花々や木々に目が奪われても、ゆっくり感動を味わう余裕は体力と共に薄れていきます。時に励まし合いながら、お互いに追い越し、追い越されながら、精一杯のペースで黙々と歩みを進める間、生徒たちは何を思っていたのでしょう。「どうして強歩なんてするの?」苦しそうに息を切らしながら尋ねた生徒。その答えはきっと、体験を通して自分の中にしっかり見つけて行くのでしょう。
ゴールまであと数キロ、木々の間から支笏湖の青い湖面が姿を見せた時には思わず、「支笏湖だ-!」と思い切り叫ばずにはいられませんでした。雨上がりの空気に霞んではいても、何て清々しい湖の青。もうすぐ、ゴールです。
仲間と共に目標に向かう喜びや、自分自身の限界を越えていく喜びなど、言葉では伝えられない感動を、来年はぜひYOUスペースの仲間にも体験してほしいと改めて思いを強くしています。最後の数キロは、ゴールするのが惜しく感じられた程です。最後の数キロ、生徒たちの真剣な表情は皆、最高に輝いていました。
また、この強歩遠足の運営を終日支えて下さった父母の皆さまには心から感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!
カテゴリー: スタッフエッセイ
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