古いアルバム
亀貝 一義
東北・関東大震災の復興作業が始まった。巨大なガレキを始末するところからこの作業が展開される。そしてガレキ撤去の作業の中で、その地で長年過ごしていた住民の方から、何か思い出の物が潜んでいるに違いない、これを見つけたいという切なる願いが寄せられているという。
写される画面は、アルバムその他がたくさん出てきて、思い出をよみがえらせてくれることを教えてくれる。
「涙そうそう」という歌の詩が思い出される。
古いアルバムめぐり ありがとうってつぶやいた
いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ
晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても
おもかげ探して よみがえる日は 涙そうそう
歌われた背景も意味も、津波にさらわれたアルバムとは異なるが、共通するものは全く同じなのではないだろうか。
ガレキの中からのアルバムが告げてくれるものがいかに悲しくあるいは感動を伴うものなのか、テレビの画面でしか知ることのできない私なども万感胸に迫る。
しかしながら、この古いアルバムは単純ではない。自分自身のものとか夫婦の相手側のもの、などであれば、「おもかげ探して」たくさんの日々がよみがえるのだが、これが「遺産」として子どもの
管理責任の守備範囲になったら、たかだた何ページかはつきあってもらえるだろう。私たちもまたこの愛する子どもたちが大人になったらどれだけ懐かしい思いをいだいてくれることか、と微笑みをもって(アルバムを)つくるのだが、成長した子どもは、何かの時以外ほとんど「過去への思い」は琴線に残らない。
かくてたくさんの「過去人」がきずいたダイヤモンドのような大切なものは、文字どおり始末に困る遺品になっていく。こんなことを書く自分も年を重ねてきたことを述懐しているのである。
カテゴリー: スタッフエッセイ
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