年に1度の里帰り
杉野 建史
私は札幌に生まれ育ってきた。西区の山の麓で30年以上生活しているので故郷と呼べるのは西区○○だ。山と川が家のすぐ前にあるので、幼少時の遊び場所はそこだった。クワガタなどの昆虫はたくさんいたし、サカナや水性生物も身近にたくさんいた。札幌市内でも自然豊かな土地だった。10年ほど前からもう一つの故郷ができた。南の小さな島で自然がいっぱいだ。というか、テーマパークやショッピングセンター、洒落たレストランは一つもない。周りを珊瑚礁に囲まれ透き通る海とそこにすむ様々な生物。お帰りなさいと迎えてくれるユンヌ人(「ゆんぬんちゅ」と言う)。宝ものだとしみじみ思う。なぜだろうか、南の島が大好きで「前世は南の島人だったに違いない」と本気で思ってしまうほどだ。
里帰りしてすることは二つ。迎えてくれる人とともに時間を過ごすことと、生命の母である海に身をゆだねること。人とのつながりに感謝し、自然に対して改めて敬意を払う。「地球環境の危機」と言われて久しいが、その海だけをみるとそれを感じることは難しい。しかし、地球は間違いなく壊れ始めていて、大気・海洋・森林の破壊は加速度を失っていない。ヒトは自然によって癒される。自然からあまり遠く離れてはいけない。
ユンヌ人が私に「この島をPRするのに何が売りになるのか、目玉が何かをはっきりさせられない」と話してくれた。無責任かもしれないが「何もない」ことが売りではないかと思ってしまった。何もないからこそ、そこにあるモノが大切だし、特別なことをしない時間が流れるし、その時間の流れで一時を過ごすことができる。でも、年に一度しか里帰りしない人間の勝手な戯言なのかもしれないと…。
カテゴリー: スタッフエッセイ
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