2012 年 10 月 17 日
はぁ~るばるゥ~
フリースクールスタッフ 新藤理
♪はるばる来たぜぇ…と言っても、森町まで高速道路が延びた今では、札幌から函館への道のりはずいぶん短くなったような気がする。貸し切りバスでの道中、音楽好きな生徒たち(スタッフも)が変わりばんこに鳴らすギターに合わせて歌声を重ねるうちに、私たちはいつの間にか函館に到着していた。 フリースクール、二泊三日の修学旅行。実は、宿泊をともなう行事は今年度に入ってから三つ目(!)だった。そのため、生徒たちにとっては気持ちをそちらへ向かわせにくいような状況だったかもしれない。それでも、全三回を制覇しようとしていたある男の子は「前の二つ(フリースクール全国大会とネイパル森キャンプ)はどっちも他のフリースクールの人たちと一緒だったけど、今回は自由が丘の友だちしかいない。やっぱり別物だよ」と話していた。そう、純粋に今年の仲間たちとの思い出を作れる宿泊行事はこれが最初で最後。準備にうまく時間を割けない難しさがある中、それでもグループごとに自主研修の行き先を考えたりしているうちに、だんだんとみんなの中で旅行気分が高まっていくようだった。 もっとも、心配なことはいろいろあった。たとえば、一日目のメインである乗馬体験。行く前から何人かの生徒からは「どうしても乗らなきゃダメ?」という声が聞こえていた。どうしても体調が悪いなら仕方がないけれど、安易にパスする生徒が多ければ、それだけで旅行の雰囲気は何となくトーンダウンしてしまう。今年度の活動を見ていると、どうも「みんなでそろって取り組む」ということができない場面が多くて、そのことが旅行の一体感を削いでしまうのではないかと心配していた。 でも、いざ函館へ着いてみれば、生徒たちは私たちの予想よりもずっと前向きに旅行を楽しんでいた。昨年は「どうしても苦手で…」と馬に近づくことすらできなかった生徒が、今年は「やってみたら楽しい!」と笑顔で乗馬に取り組んでいた。誰一人欠けることなく馬にまたがり、森の空気を味わった。 全員で一つの目的に向かう…そのことの大切さをどこまで理解してくれたかはわからないけれど、とにかくみんなは同じ楽しみを分かち合うことができたし、それは最近のフリースクールではなかなか見られない光景だったのだ。そんなふうに、「普段以上にがんばった・楽しんだ」という姿が、旅行中のあちこちの場面で見られたことは、私たちにとっても本当に嬉しかった。 苦手だけど、やってみる。自分の興味とは範囲が違うことでも、まずは体験してみる。学園活動の中でいつも大切にしている目標がたくさんつまった修学旅行は、こうして無事に終わった。見慣れた学園にもうすぐ到着という時、みんなの歌声はもう一度だけバスの中に元気よく響いた。カテゴリー: スタッフエッセイ
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