2012 年 6 月 5 日

札幌市のフリースクール支援策

                 NPO法人 フリースクール札幌自由が丘学園 理事長 亀貝 一義

     札幌市の上田文雄市長は、昨年の地方選挙のときのマニフェスト「うえだの約束」に、子どもの笑顔があふれる街」づくりの政策の中に「不登校の子ども支援」をかかげ、フリースクール支援策をあらたに創設することをうたった。このマニフェストに沿って、子ども未来局が直接担当して、先月「札幌市フリースクール等民間施設事業費補助要綱」を発表した。

この骨子は、公益法人であること、2年以上の実績をもち学校との連携・協力関係が構築されていること、複数の児童生徒を受けいれていること、等の基準のもと、8名以下の場合は年間160万円、9名以上であれば200万円を上限とした補助を行う、ということである。この補助の対象は、新規にスタッフを増やした場合、施設をあらたに増設したり借り上げたりする場合と、カウンセラー配置や教材・教具の整備などである。新規スタッフに対しては、日額6,000円の210日分(126万円)、施設を追加したりした場合は月額50,000円の12か月分(60万円)ということである。

5月31日、この要綱の説明会があった。参加したフリースクールは本学園を含め、札幌と江別あわせて7施設だった。

補助要綱がFSネットワークに示されたときに(2月末)、私は未来局に対して「この基準に沿って政策の恩恵を受けることのできるフリースクールなどほとんどないのでは」「『新規・追加』の基準を外して欲しい」ことを要求した。この時に示された基準の一つに「フリースクールスタッフは教員免許をもっていること」というのがあったが、これについても現実的ではないと言ったが、この意見は受けいれられて「要綱」では消えていた。

5月31日の説明会では、いくつかのフリースクールから厳しい指摘があった。札幌市の補助基準の見直しを求めるものだった。

私は、施行される予定の「補助要綱」の基準で、札幌自由が丘学園は該当するのではないか、と思うのだが、上に記したように、他のフリースクールの多くが適用されずらいことは否めないことから、今後の札幌市との協議の中で、せっかくのフリースクール支援策をもっと現実的に手直しすることを求めていきたい。

札幌市のフリースクール支援策のベースは福岡県のものであるが、市町村レベルでは札幌市がいわば「嚆矢(さきがけ)」である。私は、この意味を評価しながら更なる改善を希望していきたい。
                        
                          (北海道フリースクール等ネットワーク代表)