懐かしい声
学園長 杉野建史
人は人と係わりながら生きていく。係わる人の数に違いはあってもひとりぼっちで生きていく人はいない。係わりには、頻度と距離がある。例えば、職場で係わる人との頻度は高いし、距離も近い。職場以外で係わる人との頻度は多分に違うし、距離もかなり違う。しかし、物理的な頻度や距離では計ることのできない「人との係わり」があると私は信じている。
この職場で働き始めた頃、今から15年ほど前、教育大学を卒業したての女性が1年間ボランティアスタッフとして学園で働いてくれた。ボランティアと言っても月曜日から金曜日まで毎日来校し、いろいろなことに尽力してくれた。彼女は教員採用試験に合格し、翌年小学校の教員になった。先日、数年ぶりに合うことができて昔話に花が咲き、お互いの現状報告で盛り上がった。普段は電話をすることもほとんどないし、手紙のやりとりをするわけでもない。が、お互いの動向を心のどこかで気にしている。物理的なものを超えた継続的な係わりがある。
「腐れ縁:離れようとしても離れられない関係。好ましくない関係を批判的・自嘲的にいう。」
ポジティブな腐れ縁を先日感じた。小学校時代からの友人としばらくぶりに話すことができた。知り合ったのは35年前。中学卒業まで同じ学校で過ごした。この十数年、繋がりがあったのは唯一年賀状だけ。10年以上もの間、年に一回の葉書のやりとりで係わりが続いていた。ひょんなことから連絡を取った。
先日、学園のボランティアを希望する人が来校し私の所に挨拶にきた際、「杉野先生、○○さんをご存じですか」としばらくぶりに聞く懐かしい名前が出てきた。ボランティア希望のその人と、幼なじみが結びつかないので「えっ?えっ!?」と驚くばかりだった。この機会にと思い電話をした。いろいろ話す中で学園のホームページを見てくれていること、今私が何をしているかなどを知っていてくれた。嬉しい気持ちでいっぱいだった。遠くないうちに合おうと約束をして終わった。
人の係わりはそう簡単に切れるものではない。簡単に切れる可能性がありながらも、係わりは自分の思いとは裏腹に続くものである。人との係わりに感謝して、係わりを大切にこれからも生活していこうと、強く思った。
カテゴリー: スタッフエッセイ
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