2015 年 6 月 8 日

「フリースクールを容認」の動き

NPO法人フリースクール札幌自由が丘学園理事長 亀貝一義

5月28日、各新聞がかなり大きなスペースを割いて、超党派の議員連盟が「不登校の子どもの学びを支援するため、フリースクールなど学校以外の教育機会を義務教育制度に位置づける『多様な教育機会確保法案』を、議員立法で今国会に提出することを決めた」と報じた。

この「議連」というのは、自民・民主・維新・公明・共産などの議員約50名で構成されていて、「フリースクールへの公的支援を拡充する」として昨年6月に発足した。

これまで「フリースクール」というのは、いわば教育機関という意味でもなく、きわめてあいまいな存在だった。しかし、私たちの長年のフリースクールからの取り組み、そして各議会(道や市など)への公的支援の要請などによって、この存在がようやく認められてきたといってもいい。

もっともこれまでも不登校であっても、中学校の卒業は認定されてきたし、高校進学も「基準点」というハードルをもっていない高校であれば、進学は可能であった。しかし、中学校時代は不登校でした、という子どもにとって、これは口にすることは容易なことではなかっただろう。 だから、上にしたような「フリースクールを容認」という方向がはっきりすれば、「自分は一般の学校ではなく、フリースクールの札幌自由が丘学園に行っていた」と抵抗なく言うことができるようになるだろう。

なによりも、フリースクールへの公的支援の制度がつくられる重要な前提になるに違いない。今、札幌市が200万円以下のフリースクール補助金を支給するしくみを平成24年につくったが、この額もきわめて不十分であり、また札幌市が条例で決めた制度でもない(市長の「政策予算」のひとつ)。

私たちが1990年代後半から粘り強く道や国や市に要望してきた「フリースクールへの公的支援を」という目標がようやく陽の目を見ることができるようになるのだろうか。 あまり楽観はできないが、薄日を感じることができつつある。