2016 年 12 月 9 日

教育機会確保法が成立しました

                           亀貝 一義

一般にいう「教育機会確保法」が昨日参議院で可決され、成立しました。二月間の期間を経て施行されます。
この法律は、おおよそ次の内容をもっています。

① 教育基本法と児童の権利条約の趣旨にのっとり... 。教育機会確保の施策を総合的に推進することを目的とする(1条)。
② 基本理念として、すべての児童生徒のために、学校環境の確保、不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援、学校環境の整備、普通教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重し国籍等の事情にかかわりなく能力に応じて、そして国と自治体はこの種の活動を行う民間の団体その他関係者の相互の密接な連携の下に行われること、をあげる(3条)。
③ 国と自治体は教育機会確保のために協力しつつ当該地域に応じた施策を策定し実施する責務を負う(5条)。また、国と自治体はこの施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めると(6条)。

④ 文科大臣は教育機会確保の関する施策を総合的に推進するための「基本指針」を定めなければならない。(その4つの事項)。これを行う時に、あらかじめ自治体やこの活動を行う民間の団体その他関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる(7条)。
⑤ 国と自治体は不登校児童生徒の教育機会確保のために学校への取り組み、関係者間での情報を共有しなければならない(9条)。
⑥ 国と自治体は、不登校の児童生徒のために特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の整備とその教育充実のために必要な措置を講ずるように努める(10条)。
⑦ 国と自治体は、学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性を考慮し、不登校の子どもの休養の必要性を踏まえ、状況に応じた学習活動が行われるように、子どもや保護者に対して必要な支援を講ずる(13条)。(夜間中学校については略)
⑧ 政府は、教育機会確保等のために必要な経済的支援のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。
⑨ この法律施行後3年以内に、この法律施行の状況について検討を加え、必要な措置を講ずる(附則)。

国と地方公共団体は、不登校の子どもの教育機会を確保するためにフリースクールなどと協議して具体的な施策を進めなければならない、とあります。

問題はこれからです。道や市がこの法律の趣旨にもとづいて、不登校の子どもの気持ちや感情を重んじながら、必要な支援のあり方を、フリースクールなどと協議して、どう進めるように仕向けるか。まず、自治体の受けとめる担当窓口がどうなるか、誠実に対応できる担当者であるか、などを注目していかなければならないと思います。

衆議院の採決にあたって、付帯決議が満場一致行われています。この決議はこの施策と理念をより的確にしめしていることを重視したい。法律施行の基本のよりどころになる理念です。