2009 年 11 月 12 日

風邪とニュースと飼い猫と

 

及川 かおり 

ここ3年ほどは風邪もひかず、病院にも行かないのが自慢だった私が、風邪をひいた。もともと体力自慢ではないため、玄米食とヨガで体質改善を図ってきたけれど、その効力も今日はむなしい。ボーっと重たい頭では、するべき事は山ほどあっても、どれ一つとして自由が効かない。いや応がなしに気持ちばかりが焦ってくる。きっと最近はインフルエンザに倒れたりして、突然こんな焦りと無力感のジレンマを感じる人も多いかもしれない。 

 

 大きく深呼吸してみた。自分の心の声に耳を傾けてみよう。たまには身体の声を聞いてあげよう。そんな事を思って、目を閉じてみた。 

 

基本的に「あれもしたい、これもしたい」と欲張りなため、心が静まることなどめったにない。新しいこと、チャレンジすること、そうやって前に前に心を奪われている間に、やはり見落としてしまっていることが沢山あるのではないだろうか。日々の雑感やささいな心配事ほど、誰にでも訪れることだと放っておいてはいけないのかもしれない。 

 

つけたままのテレビから、痛ましい事件のニュースが立て続けに流れてきてしまった。心が揺さぶれる。そして、ついつい目を開けてしまう。なんだか大変な世の中だなぁ、などと思ってテレビを消すと、私の一人娘、飼い猫の「うちゃ」が遊んでほしいと寄ってきた。しばらく、この子と遊んでもいなかったような気がする。 

 

今、私が大切にしたいのは、こうやって目の前の1つ1つを、存分に楽しむことなのかな。それができるようになれば、焦らなくても、心配しなくてもいいのかもしれない。飼い猫と遊んでいるうちに、この日の焦りも熱も、何事もなかったように消えてしまった。