2010 年 1 月 1 日

年が明けて

                                                           札幌自由が丘学園 学園長  杉野建史

年が明けて2010年。

昨年は札幌自由が丘学園にとってまさに「今一歩の挑戦」の年だった。高等部が正規(学校教育法第1条)の高等学校になり、長年の願いであった学校設立を実現できた。また、青年期の子どもたちのためにフリースクールのプログラムを充実させたいという願いも、札幌市の協力を受けて実現できた。若者のためのフリースクール「YOUスペース」である。職員も増え、新しい感性とベクトルが加わった。実に心強い。

学園は、フリースクール・高等学校・YOUスペースを3本の柱としてこれから展開していく。対象となる子ども(青年も含めて)はおよそ10歳から30代前半となる。1つの教育施設にこれだけ広い年齢層の若者が在籍することはそうあることではない。それぞれのカリキュラムや行事があるが、共通の行事で一緒に活動することで異年齢の繋がりが生まれる。年齢も違えば今背負っているものも違う。そんな人たちと時間を共有したり、同じ事に取り組んだりすることが、一人ひとりに新しい発見を導いたり、自分と違った価値観の存在を気づかせたりする。

成長の速度も、進みたい方向性も違った3本の脚がしっかりと大地に根を張り、激変の世の中に負けないように踏ん張る。三脚(3点支持)は大地がどんなにかたちを変え、デコボコになってもしっかりと足をつけることができる。札幌自由が丘学園の大きな教育のベクトルの中で、少しずつ違ったベクトルが絡み合い助け合いながら太く大きくなる。自分達ではどうにもできないことも、保護者の方々の協力や、社会の力、学園を応援してくださる方々の力を借りてそれを自分達のエネルギーに変えていける。

地球規模の環境破壊が加速的に進み、経済破壊(破綻)も驚異的に進んだ2009年。国内でも風向きが刻々と変わり、潮の流れも変化している。その状況をしっかりと判断し、シートを引き込んだり出したりして、舵を的確にきる。沈まぬよう、座礁しないよう細心の注意をはらい、躊躇せず判断しなければならない。その判断力が求められる。

様々な制度が変わった年でもあった。「政権交代」が現実化し、「事業仕分け」に国民が一喜一憂(怒)した。今年も社会はめまぐるしく変わるだろう。その変化に学園が柔軟に対応できるか、私たち職員が柔軟な心と頭を持ち続けられるか。時には強硬に社会の変化に対し「NO」と言わねばならい。特に教育制度についてはまだまだ法の整備をすべき点がたくさんある。昨年、そのことにいやという程気づかされた。そのことを訴え続けねばならない。社会が迷走し続けたとしても、私たちはある種の自信を持ち、夢や希望に向かって子どもたちと歩き続ける。

さらに年が明け2011年を迎える時、私たちの道程がはっきりと残っているように今年も職員一丸となって歩く。