2016 年 3 月 8 日

通信制高校、ピンキリがあるよ

札幌自由が丘学園三和高校 亀貝一義

ここ1週間ほどの間に、三重県に本部のあるWA学園高校という特区立(広域・通信制)高校のデタラメな教育内容と運営、そして生徒をエサにして修学支援金を得させて学校の収益にするというサギまがいのことが話題になり、「特区立の通信制高校などは要注意だ」といわんばかりのコメントがテレビの解説者などからなされている。

ニュースで知る範囲だからその問題点の具体的なかみはわからない部分もあるし、こういったいわば三面記事的なニュースについては十分に注意して認識しなければならないことは重々わかっているのだが、しかしだからこそ、私たちも言っておかなければならないのではと思っている。

いくつかの報道事項をいうと、たとえば日本映画を観て「国語」の授業に当て、洋画を見て「英語」の授業に当てる、つまりそれぞれの単位取得と認定するとか、USJに行って買い物をする際、おつり計算で「数学」の授業、夜景を鑑賞して「芸術」の授業、スクーリング行動中ドライブインで食事をして「家庭科」、等など。

それぞれの行為(教育活動)の中でなにがしかの生徒指導をともなわれていたのだろうが、どうも解せない。

全国40カ所以上のサポート校、1200人の生徒を擁する学校である。これを運営する会社は塾系の会社だという。教員免許状をもたない「教師」もサポート校などにはいたという。

この学校を認可した市の教育委員会は来年度新入生を入れることはダメ、また単位取得者も再履修が必要といっているようだ。

義家文科副大臣は「広域通信制高校の信頼性を失うことになる」と懸念を表明している。

私たちもまた広域・通信制高校を運営している。上に記したようなデタラメなことはあり得ないのだが、義家副大臣が心配するように「特区立学校など信頼できないのでは」という疑念が生まれることが心配である。「通信制高校、ピンからキリまで」と言いたい。

有名スポーツ選手が所属している通信制高校も本当に単位を取得できるような教育環境を保障しているのか、疑問を感じさせる学校もあるし、逆に生徒の実際に合わない授業をやっていて「高校教育を進めています」といいながら生徒の単位取得を困難にして中退に追い込んでいるような学校もあるかも知れない。

単に特区立とか通信制の学校に限らないテキトーな学校が(残念ながら)あることを、私たちは「他山の石」にしなければならない。

ピンキリのピンは1,キリは10を意味する。だから、ピンキリとは最低から最高までいろいろあるよ、という意味。ちなみに私たちの三和高校はキリに近い学校であると自負しているのだがどうだろうか。