2009 年 3 月 2 日

思い出に残る卒業式

5期生の卒業式を間近に控えたある日、スタッフどうしで、もっとも思い出に残る卒業式はいつだったかというおしゃべりをした。私のもっとも思い出に残る卒業式は大学だった。私の通った大学は父の職場でもあった。中学生の時から、父の研究室は私のもう一つの部屋のようで、困った時はいつも訪れることのできる居場所だった。あれから10年以上の時が経ち、私が大学を修了する年にはそこは父の逝去とともに後任の先生の研究室となった。私の居場所は公私ともにもはやこのキャンパスにはないのだと実感すると同時に、とうとう、自分の力で、自分の居場所を作らなくてはいけなくなったのだと悟った。10年間、どこか最後には甘えることのできる場所から、本当の意味で「卒業」した年だった気がする。

そんなゆっくりとしたペースで「卒業」の意味を知った私に比べると、先日の五期生の卒業式で見ることのできた表情は何と誇らしげなことか。今日一日でどれだけ大人になったのだろうと驚くほどの、しっかりとした姿に感動を覚える。卒業の手応えがあるのだろう。それを感じられるほど、頑張ってきた自分自身をいつも認め続けてほしい。5期生のみんな、本当に卒業おめでとう!

椎名結実