2010 年 7 月 7 日

命ってなんだろう?

新藤 理

 フリースクールの授業の一つに「Whats Life?」というものがある。見学に来た方の多くが「これは何の時間ですか?」とたずねてくる、ちょっといいタイトルだ。

 その名の通り、授業で学ぶ通年テーマは「命ってなんだろう?」「生活ってなんだろう?」。総合学習、あるいは道徳や保健などに近い内容が出てくる。伝えたいことがたくさんある中から、4・5月は「こころについて」、6・7月は「仕事について」という題材を選んだ。

 先日、「仕事について」の授業のため、特別ゲストとして元赤十字病院の看護士・Hさんに来ていただいた。フリースクールに通うH君のお母様である。日頃からパワフルそのもののHさんの授業は、やっぱりとても情熱的で、ユニークだった。でも、それだけではない。そこにはたくさんの生命と向き合い続けた人だけが持てる神聖さがあった。

 これ以上の説明は余計だろう。お話の中でとくに印象的だったことを取り上げてここにお伝えしたい。

 

 「私はどういうわけか、幼稚園くらいからずっと世界の平和・出会った人すべての健康と幸福をお祈りしている子だったんです。だから、小さい頃からずーっと『看護士になりたい』と思っていたのね」

 

 「被災地で働く看護士は、たとえ家族がいても、自分の家がぐちゃぐちゃでも、患者さんのことを優先しなくてはいけないの。赤十字病院の看護士はみんなそのつもりで働いています」

 

 「排泄のときに看護士に手伝ってもらわなくちゃいけない患者さんもいます。『汚い』『イヤだな』って思うかもしれないけど、手を借りている患者さんの方こそ、すごく申し訳なくて、つらい気持ちでいっぱいなんです。だから、私たちがイヤな顔なんかしては絶対にだめ。たとえ出したものが顔についたって(笑)、もうゼンゼン平気! っていう顔でいます」

 

 「どんなに力を惜しまず看護しても、患者さんが亡くなってしまうことはある。わたしは悲しくてわんわん泣いていたけど、あるとき先輩に『あんたは家族かい!? 家族の人はもっと悲しんでいるんだよ。しっかりしなさい』と怒られたの。それからは、別れを悲しむよりも、『生きているうちに命に出会えたことに感謝!』と考えるようになった」

 

 「朝、起きたらね、私はこう思うんです。『目が覚めた! 私は今日も生きてる! いえ~い! 私、イケてる!』って。生きているって、それだけで本当にすごいことなんだから。みんなも朝起きたら、『いえ~い!』ってやってみてね(笑)。それだけできっと幸せになれるから!」