2016 年 9 月 13 日

結婚ウラ話

高村さとみ 

 結婚しました。

 結婚って何なんでしょう。インターネットで調べてみると「夫婦となること。特に、男女の間で夫婦関係を生じさせる法律行為。」という定義が一番に出てきました。実は私は籍を入れない、いわゆる事実婚という状態なので、厳密にいえば結婚してないことになるのかもしれません。
 生徒たちに「結婚するよ」と伝えたときも、「いつ結婚するの?」と聞かれて困ってしまいました。結婚の日というのは(入れる予定はないけど)籍を入れる日なのか、一緒に住む日なのか、それとも結婚式を挙げる日なのか。なので聞かれても「いつ?うーん...結婚って何を以てして結婚だと思う?」という質問返しに。その後結婚祝賀会を行うことになったので、「結婚はわかんないけど、結婚祝賀会は○月△日だよ。」と答えるようになりました。
 2015年12月に最高裁判所で夫婦同姓は憲法に違反しない、夫婦別姓は認められないという判決が出されました。私はそれまで籍を入れる入れないについて特に考えを持っていませんでしたが、この判決には疑問があります。夫婦別姓が良いと考える人たちは「全員別姓にすべき」と言っているわけではなく、「同姓でも別姓でも望む方を選べるようにしよう」という主張です。一方、夫婦同姓が良いという人たちが「全員同姓にすべき」と言うのは、別姓にしたいというマイノリティを蔑ろにしていると思うのです。そんなわけで「同姓しか認めないというなら、あえて別姓でいきましょう」という心境のまま今に至ります。「今時でいいですね」と言われることもあれば、「書類上の姓が変わるだけで実生活には何も影響ない」と言われることもあります。さらに、結婚のことが周りに広まると「高村さんをこれからなんて呼べば...」とよく言われるようになり、改めて一般常識を覆す難しさを感じました。
 実は不登校も同じなのではないでしょうか。学校に行くことが一般常識で、不登校があるなんて思ってもいない。不登校の子どもが「今日学校は?」と声をかけられるのと、このシチュエーションは同じなんじゃないかと思います。相手に他意はなくともこちらには思うところがあるというか。他意がないからこそ強く主張しづらいというか。


 そんなわけで私の気のすむまでは別姓のままでしょう。夫婦同姓レジスタンス。マイノリティが認められるために、ささやかな抵抗を。