2010 年 9 月 15 日

やっぱり人。繋がっていることの素晴らしさ

                                                           札幌自由が丘学園三和高等学校 副校長 杉野建史

 9月5日から10日にかけて、2年生修学旅行の引率で沖縄と鹿児島県与論島に行ってきた。与論島へ行くのは7回目。旅行2日目の昼、那覇を出発したフェリーが与論港に入港した。フェリーから見る島は変わらずに綺麗だった。

修学旅行でお世話になるのは6回目。過去には旅行中台風2つに襲われて、与論島に足止めを食らった年もあった。そんなとき、生徒のことを第一に考えて色々な対応をしてくださったのが与論島の人たちである。本当に心暖かな人たちである。

 学旅行の行き先、行き先でできる体験学習内容、費用、など細かいことは他にもたくさんあるが、根幹となる部分は職員が考える。生徒は全員研修を何にするか、個別研修は何がよいか、自由行動はどうするかなど、情報収集したり、友達と話し合ったりする。生徒の考えを職員が受け取り、与論島の担当者とすり合わせをし、アイディアを頂いて最終的にお願いをする。私たちからの思いや考えをほぼそのまま与論島の人に受け取ってもらうという図式である。

 与論島1泊目の夜、担当者のタケさんと話す機会があった。これまでの6回にわたる与論島で行ったプログラムを全て知っている人だ。「毎年、先生達や子どもたちの帰りを楽しみに待っています。本当にお帰りなさい。」という言葉で会話が始まった。

「これまでは、与論島の自然を肌で感じてもらうこと、自分達の土地と違う文化や人たちに触れてもらうことを主な目的としてきたと思うのです。その目的は達成できたともいます。毎年子どもたちを受け入れて、もっと何か他のできることがあるのではないかと考えるようになりました。もっと島の中に子どもたちが入ってきて欲しい、島の人とふれあう時間や共に過ごす時間があっても良いと思うのです…」と、優しい声で熱く話し出した。「離れていてもいつも皆さんのことを考え、感じています。できることがまだまだあります。時間もあります。先生、色々考えませんか。一緒に色々なことをやりませんか。先生は熱い人だから一緒にできます。」嬉しい言葉だった。握手する手は温かく力強い。胸が熱くなった。修学旅行について、島の人たちの思いや考えを私たちが受け取る図式ができそうだ。

札幌から与論島まで直線距離で約2100㎞。物理的な距離は1年に1度しか合わせてくれない。しかし、心に距離は関係なくいつでも感じられ、いつでも繋がっている。

与論島を離れる時、いつものように「行ってらっしゃい!」と笑顔で見送られた。

私の中で熱い思いが大きくなった。北の大地、和寒で子どもたちを受けて止めてくださる暖かな人たちがいる。南の島、与論島で子どもたちを受けて止めてくださる暖かな人たちがいる。できることはまだまだある。やりたいことがまだまだある。そのことを実現していけるのは人との繋がりがあるから。多くの人がかかわってくれるから。